全日本硬式空手道選手権大会を観戦して
今回、全日本硬式空手道連盟開催の第32回選手権大会を観戦して、これが真の空手で、実戦的で精神と体の鍛錬にもなり、護身術としては最高です。競技としてもわかりやすく採点できるので、空手道の本流になって欲しいと思いました。
空手が武道スポーツとして、柔道、剣道と肩を並べ一緒に存在するためには、
「組手のルール」が必要だそうです。
しかも、組手を競技化するには“実戦性”と“安全性”の両立させなくてはならない
のでこれをクリアーしていく努力を各会派でも行っています。
柔道はルールと畳で、剣道は竹刀と防具で実戦と安全を担保してきました。
空手の場合はそう簡単にはいきません。
生身で打ち合い、素手・素足を使って戦う空手の場合は、安全性の課題が
克服出来ず、大半の流派は寸止めでそれを解決しようとしましたが、それを
全日本硬式空手道連盟(会長、千葉拳二郎先生)では、さらに禁じ手をしっかり定め
ルール化して競技者の安全性確保につとめ、さらに実戦性と競技としての勝敗の分かりやすして、今後の空手道の本流になっていく空手道連盟かと個人的には思います。
それとは別に、安全性を高めるため、研究されたのは「防具をつけてでの組手」で、
韓武館や東京大学空手道部を中心になって研究されました。
外にも、拓殖大学空手部などが中心の「寸止めルール」が、当たる寸前に技を止めるルールで、性別・年齢を問わず簡単に取り入れることができる一方、実戦性を損ない、型やルールだけに縛れることになっている気がします。
空手の統合組織として誕生した全日本空手道連盟(全空連と呼びますが)においても、
寸止めルールは正式採用され、競技空手は完成したとされていますが、疑問です。
それでも東京オリンピックにおいてはこのルールが採用されます。
これでは、東京オリンピックで空手競技は終わってしまう。
もっと統一ルールを各会派で話し合ってしっかり決めないと。
柔道ができたのだから、空手が出来なわけがない。
早く空手界の嘉納治五郎翁が出てこないかな~。
当初、空手が沖縄から伝わったときに、いろんな空手家が流派を名乗らなくてはと
当時の剛腕空手家の名前がつけられたのです。 1920-35年の頃、空手が沖縄から日本本土に来ました。 それまで、流派という名前のついたものはありませんでした。
空手は世間一般には4大流派と呼ばれ、
松涛館(船越義珍ーふなこし・ぎちん先生)剛柔流(宮城長順ーみやぎ・ちょうじゅん先生),糸東流(摩文仁賢和ーまぶに・けんわ先生),和道流(大塚博紀ーおおつか・ひろのり先生)ががあります。これらの4会派は全て寸止め空手です。
極端なのは極真会を作り上げた大山倍達(おおやま・まさたつ先生、アメリカでは
Mas Oyamaとして知られています)とそのお弟子さんたちの組織があります。
顔面などを除いた場所であれらば打っても蹴っても良いとした、この極真会は寸止め、の代わりにフルコンタクト空手と呼ばれています。
ボクシングのようにノックアウトもあり、突き、当て、蹴りでの採点もあります。
相手を倒す事が出来ない、空手は空手ではない、と言う思想です。
この極真会から離れてフルコンタクト空手を独自の空手、スポーツとして、
興行するようにもなったK-1は見ていてハラハラドキドキで危険と隣り合わせの面白さはありますが、一般の人がスポーツとして行うには問題がいっぱいです。
グローブを使う事で、顔面打撃ありとしたこともひつの動きでもあるわけです。
士道館、拳道会、佐藤塾、大道塾、芦原空手、無門会、
エンターテインメントにもなっているK-1(正道会館)などが、
このフルコンタクトを受け継いでいる流派です。
これらの中には興行は絶対しないと言うところもありますが、極真空手は
テレビ放送で競技大会が実況されて盛り上がりも見せています。
さらに流派にとらわれず、上記団体に加盟しない私塾の空手道場では
空手が武道であったときと同じく、突き・当て・打ち・蹴りはもちろん、
投げ、関節攻め、首締めを含む締め技、金的攻撃も含む何でもありの空手を教えている
ところもあります。もちろんそれには ます安全性のタンポが必要です。
今回、全日本硬式空手道連盟の2016年第32回大会を観戦しての率直な感想は
防具もしっかりしており、子女子も打ち込めるスポーツに体系化されており、
体力面、精神面の両面からもっと普及されて欲しいスポーツだと実感しました。
それと凄いギャップ感じたのは、苦しい練習を積んできて試合に負けた悔しさを
試合会場では誰も見せなかったことです。
試合の間は真剣そのもので、殺気さえ感じる試合運びにも拘らず、決着がついた後
必ず、握手をして、対戦してくれてありがとうと勝っても負けても笑顔で相手を
たたえ合っている姿勢と気持ちが全体戦の競技者にみられたことです。
本当にすがすがしく感じました。オリンピックの吉田沙織選手の会場での涙と態度を何度も見ていた後だけに、今回の全日本硬式空手道連盟の出場選手の姿勢に痛く感銘しました。
まずは、公の場では負けても、相手を讃え、悔しさは後で、一人になって振り返り、
これからの練習に生かしていく姿勢の方がはるかにいい姿勢だと感じました。